私のTwitterについて
人類の遺産
「私たちは大昔から体に針を刺してきた。
最古の証拠は、「アイスマン」というめずらしい形で現れた。
1991年9月のある晴れた日、二人のドイツ人旅行者が
イタリアアルプスでハイキングを楽しんでいたときに、
氷の中に閉じ込められた遺体を発見した。
その遺体は発見された谷の名をとって「エッツィ」か、
もしくは「アイスマン」と呼ばれた。
当初は、比較的新しい時代に死んだ登山者だと考えられたが、
現在では、彼が生きていたのは5300年前だということが
わかっている。この発見にまつわる驚くべき事実のひとつに、
エッツィがタトゥーをしていたことがある。
これは世界最古のタトゥーの例だ。
彼のタトゥーは腰、両の足首、片方のひざに施されていた。
レントゲンの写真でわかったが、その位置は、
関節炎のためにエッツィが痛みを感じていた部分のようであり、
一種の治療として施されたのではないかと推測されている。」
ネイサン・ウルフ著 高橋則明訳
『パンデミック新時代』 NHK出版
東洋医学界に衝撃を与えたアイスマンの入れ墨痕。
そのタトゥーは正確に坐骨神経痛の取穴法に準じていた。
現代に生きる鍼灸師なら即座にアイスマンが坐骨神経痛や
腰痛で悩んでいたとわかるツボに
そのタトゥーは刻印されていた。
発見されたのがスイス国境。
なにが驚きかというと東洋医学発祥の中国の地ではない。
ユーラシア大陸の地続きではあるが、あくまで西欧圏。
この世界的発見は鍼灸術の中国発祥説に一石を投じたが
一部の歴史好きや東洋医学フリークの好事家を除き
アイスマンのネタが広く一般化することはなかった。
いわゆるこのアイスマンの鍼治療は瀉血法で、
血止めの煤を塗り込んだものが入れ墨のように残った
と民俗学者らの識者は推測している。
太古の時代から人類の痛みを救ってきたと思われる鍼。
しかしここ150年はこの日本の地ではどうにも分が悪い。
とはいえ昨日に右腰部の腰痛を主訴に
初診で来院された御婦人。
30分の鍼治療のつもりで予約されたが
治療を始めて鍼の響きが早く到来したので
「これなら15分の治療で十分に効果が出そうですよ」
とアドバイスして、15分1250円で治療を終了。
帰り際、「あれ、腰を動かしても痛くない!
いやあ~、こんなに軽くなるの!なんだか
時間も短くしてもらってお金まで安くなって
ものすごい得しちゃったみたい」と
嬉々として帰院。
アイスマンもたしなんだ鍼治療が5300年後も
ちゃんと静岡県牧之原市の一角で機能している。
鍼治療は人類の偉大な遺産だ。
2021年04月05日 Posted by ハリィー今村 at 16:59 │Comments(14)
汝の熱を愛せよ
「ウイルスの感染によって免疫細胞系に防御機能が
活性化されると、IL-1やIL-6が放出されます。
これらは緊急事態になると活動するインターロイキンです。
体温のコントロールは脳の体温中枢で行われていますが、
これらのインターロイキンが脳の血管で細胞に作用すると、
血管の細胞内で直接発熱作用に関わる分子で
あるプロスタグランジンE2がプロスタグランジン合成酵素によって
作り出され、脳のなかへ拡散し、体温調節中枢の細胞表面に
存在する特殊なタンパク質に結合します。
この結合によって全身の体温を調節している神経回路が
活性化され、発熱せよと命令が出されます。
①ウイルスに感染する
②マクロファージがウイルスを食べて
③インターロイキンを排出する
④インターロイキンが脳細胞に作用して
⑤プロスタグランジンE2が放出される
⑥プロスタグランジンE2が視床下部に作用して
⑦体温調節の指令を出す
ちなみにアスピリンなどの非ステロイド性解熱鎮痛剤は、
プロスタグランジンを作り出す過程で機能している
シクロオキシナゲーゼ(COX)と呼ばれる酵素の働きを
妨害することで、プロスタグランジンE2を作らせないようにして
発熱を抑えています。(※ アスピリンは発売からすでに
100年以上経過して、いまだに売れている薬です。
アスピリンは世界で年間1000億錠生産され(バイエル社調べ)
ています。アメリカ人は特にアスピリンが好きで、
病気でもないのにガバガバ飲むので、毎年新たに10万人が
副作用に苦しみ、2000人以上が死亡しています)
神経細胞とサイトカインによる体温調節は、ウイルス感染が
起きたときだけでなく、平常時の体温調節にも同じ仕組みで
機能しています。体温はこのような脳でのさまざまな反応の
足し算・引き算の結果として算出され、皮膚などへ交感神経系と
運動神経系の活性化という形で送られます。交感神経系の
行き先は脂肪細胞や血管の細胞で、交感神経系が活性化
されることによって、脂肪組織に蓄えられたエネルギーが熱に
変換されます。熱を全身に循環させるのは血液の役目ですので、
血管細胞では血管を太くしたり細くしたりして流れる血液の量を
加減し、体を冷やしたり暖めたりします。
一方で、運動神経系は体をふるえさせることによって熱を
作り出そうとします。このように、エネルギーの熱への変換、
熱の発散の抑制、ふるえによる発熱、の3つの方法によって
体温は上昇し、感染した細菌が生育しにくい高温環境を
作り出しています。」
中西貴之著
『なぜ体はひとりでに治るのか?』
技術評論社
なぜ発熱するのか?
それは発熱を起点に自然治癒力が発動するから
リンパ球は発熱温度38.5度になると
ヒートショックプロテイン90とインテグリンの作用で
スイッチが入り感染病巣に対する攻撃力を最大化する
ならばリンパ球の集まる部位を普段から温灸で
温めていれば免疫系は常に絶好調なはず
という治療法も当院では既に開発済
実は鍼治療でプロスタグランジンの産生が促される
プロスタグランジンには催眠作用や抗ガン作用もある
鍼治療をすると治療後に猛烈な眠気に襲われることがよくある
いや鍼治療中に熟睡してしまう場合が多々ある
これは鍼治療→プロスタグランジン→催眠
の何よりの証拠と確信している
汝の熱を愛せよ
2021年03月28日 Posted by ハリィー今村 at 20:10 │Comments(9)
天地自然の教え
「脊椎動物も地球上の生物の一部にすぎません。
たとえば、身近なイカやタコ、カタツムリなどの軟体動物、
エビやカニなどの甲殻類、ホヤなどの原索動物、
なにより地球上でもっとも繁栄をきわめていると
いわれる昆虫類でさえ、脊髄は持っていません。
つまり彼らは獲得免疫を持たない、病原体に対して
抗体を産生できない生物なのです。
そんなことで、はたして生きていけるのか?
なんだか不思議な感じがします。
自然界には細菌やウイルスなどさまざまな病原体が存在し、
生物は日夜それらの脅威にさらされているのです。
もちろん人間や、人間に飼われている一部の生物を除いて、
予防接種などはしていません。」
坂野上淳著 審良静男研究室監修
『新しい自然免疫学 免疫システムの真の主役』
技術評論社
人間以外の自然は常に平常通り
植物も動物もみな普通
コロナで大騒ぎしている種はいない
桜の花もそろそろ満開
季節はいつも通り巡っている
人間もついこの間までワクチンなど打たずに
普通に生きてきた
絶滅することもなく
なぜか?
人間にも昆虫や軟体動物のような
強靭な自然免疫系が備わっているから
その人間の強靭な自然免疫系の主役が
大食細胞 またの名を マクロファージ
マクロファージが細菌やウイルスをとらえて
その情報を獲得免疫系に伝達することで
人間の免疫は正常に機能する仕組み
つまりマクロファージの活性に
人間の免疫のすべてが託されている
マクロファージの活性は マクロファージの細胞膜にあるTLR
トールライクレセプター と呼ばれる受容体に
抗原となる分子がヒットすることで維持される
異物抗原→マクロファージ→マクロファージの活性化
マクロファージがたえず抗原にさらされることで
私たちの免疫システムは正常に機能するのだ
もしも無菌室 無ウイルス空間に ずっといれば
人間の免疫系は抗原に触れる機会を逸し
やがて免疫系はなまくらになり機能しなくなるだろう
免疫系がシャットダウンした状態で
いきなり抗原にさらされたら
マクロファージが活性化する前に抗原の攻撃が上回り
感染を引き起こす危険性が増すだろう
消毒殺菌の徹底 マスクの常用とはまさにコレだ
感染防御の目的でやっていることが
感染をかえって誘発する
こんな当たり前の事は免疫の基礎がわかっていれば
本来なら猿でもわかるはず
人間社会ではなく自然界に目を向ければ
いつもそこに答えがある
『聖人と称し仏陀と号するも もとより人なれば
畢竟 我 講究討論の友にして師とするものは 天地なり』
三浦梅園
天地自然の教えこそ真理
2021年03月28日 Posted by ハリィー今村 at 14:17 │Comments(1)
オモテには決して出ない
「松田 お父様が鍼灸師だったんですね。
向野 そうです、福岡で開業しておりました。
松田 そのために鍼灸をしようと思って、医師になられた
ということでしたね。そういうお医者さんは日本でも
少ないので、鍼灸界は先生の活動を期待をこめて
見つめてきたと思うんです。まず初めに、鍼灸に関心を
持ったいきさつから聞かせてください。
向野 一番は、やはり父親の治療の効果を見たことです。
最もショッキングだったのは、小児頭大の子宮筋腫が
お灸で消えたということです。僕が中学生の頃です。
肝硬変の腹水が消えるとかね。そういうことを見たり
聞いたりして育ったのと同時に、当時うちには患者さんが
常に10人ほど長期滞在してたんですよ。
松田 入院ですか?
向野 入院させると法的に問題があるのですが、家が
広かったもので。
松田 滞在させる空間はあったと。それは珍しいですね。
向野 それで、朝晩お灸と鍼で治療するんですよ。
食事は玄米菜食です。青汁も毎日出します。
父は当時、桜沢如一先生のマクロビオティックなどを
勉強して、患者に実践してたんです。
松田 そういうお父様でしたか。
向野 食養と鍼灸を徹底してやって、皆さん元気になって
帰られる。そういうのを見て育ったことがすごく大きいと
思います。父親自身は鍼灸師という立場で悔しい思い
診断ができないなど もたくさんあったわけですから、
「息子は医者に」という思いが強かったと思います。
僕はあまり言われませんでしたけど、
内科医をしている兄貴なんかはよく言われていました。
当時、父は兄に家庭教師を2人付けて勉強させていました。
松田 医学部に入るためにですね。お父さんの養育の目的は
はっきりしていたわけですね。
向野 長男についてははっきりしていたと思います。
僕は放置されていましたけど。それでも見て育っていますから、
どうしてここでは診断が行われないのかという疑問を感じ、
どうにかしたいという思いが医学部を目指すきっかけに
なったんだと思います。
九州大学医学部の学生だった20歳の時、クラスの文集に
投稿した「東洋医学」と題した文章の中で最後に、僕は
次のように書いているんですが、今改めて読んで、
40年前と少しも変っていないなと感じます。
「明治以来行政的に撲滅され長きにわたって、陽の目を
みなかった東洋医学も、今や多くの関心を引き付けるに
至っており、百年の遅れを取り戻すべく努力が開始されている。
東洋医学に対する認識を書き改める時期に達しているのである。
日本の東洋医学の内臓する多くの行政的問題点や
夾雑物を同時に解決していかない限り、真の発展は
あり得ないであろう。また、哲学が問題を発見し、科学が
解決するのであるが、東洋医学の正しい理解は東洋哲学が
提起した独自の生命観、世界観の解明でなければならない。
しかも、単に東洋の西洋科学化であっては決していけないであろう。
何故なら、原理・出発点の異なる東洋と西洋を簡単に結婚させ、
東洋を西洋の理論で安易に置きかえることは、東洋の独自性の
否定という大きな危険をはらんでいるからである」
松田 先生の東洋医学に対する洞察が不変であるとともに、
この40年間、特に国の医療制度の面で鍼灸のアウトサイダー的な
位置は変わりませんでした。先生の志は若々しいまま、
今も意義を持っているわけです。
向野 そうですね。変わりようがないわけです。
周りがあまり理解していないから、そのまま、ということです。
その意味では、ただ医学部を卒業しただけでは、
実際に臨床で鍼灸をやれる場は当時も今もまずないですね。
向野 前は生理食塩水をツボに打ってたこともあるんですよ。
松田 今回の総会でも報告されていましたね。
向野 生理食塩水を皮内に打って、
ツボをぐっと膨らませるんですよ。
ちょうどツベルクリンを打った時みたいになるんですけど、
あれを大きくするんです。
これはもう劇的に効くんです。
松田 それは前から分かってたんですか。
向野 そうです、ずっとやっていました。
ちょうど僕が三重県にいた時にやり始めたんです。
鍼のない時にちょっとやってみたらすごく効いたものですから。
それをシステムとして使うには、要するにM-Testと同じ方法で
やればいいんですけど、そうでなくても、痛いところに
打ってもよく効くんですよ。三重県にいた時に、
所属していた内科の助教授が、実験室で倒れたまんま、
8時間も動けなくなったんですね。
松田 どうしたんですか。
向野 ぎっくり腰の痛みでした。整形や麻酔科の医師が皆
来まして。たまたま僕が出張帰りに病院に
寄った時だったんですが、
「いいところに来た、お前何とかしろ」と言われて。
その前に誰か鍼を試したみたいです。
でも鍼ではだめだった。
松田 だめでしたか。
向野 神経ブロックもだめで、他の方法もだめで。
それで注射と生理食塩水を準備してもらいました。
背中の痛い場所の皮膚を、生理食塩水で膨らませるだけ。
それを繰り返していったんです。
松田 何か所か。
向野 7、8か所やりました。それで
「先生起きてください」と言ったら、
すっと起きたんですよ。その人は病院協会の理事を
していたので、その時の体験を病院協会雑誌の中で
取り上げたんです。しかも、生理食塩水の皮内注をご自身が
患者に応用することになったことや、僕のことをM君と
紹介していた。それを朝日新聞の編集委員の人が見て、
その先生に何度も電話をかけたらしく、その先生から僕に
電話がかかってきたんです。僕はもう福岡に帰っていましたから。
「もうお前の名前を明かしていいか、僕が説明するより
ずっといいから」と言うので、いいですよと答えたら、
今度は朝日新聞の人から僕の方に何度も
電話がかかってきたんです。
だけどその時に僕が恐れたのは、これが普及したら
鍼灸師はすごく困るということでした。この技術は簡単だし、
お医者さんもやる気になったらいくらでもできる。
鍼どころの効果じゃないわけですよ。
ですから朝日新聞の人に、弱者の味方でいてくださいと
言ったんです(笑)。そうしたら気を付けて書きますと言ってくれて、
ちゃんと原稿も見せていただきました。関東地区の新聞に
コラムとして掲載されて、以降、その人といろいろなつながりが
できました。朝日新聞出版の『現代養生訓』(長倉功著、1997年)
の中でも僕の手技を取り上げてるんです。
松田 医療のなかでは、生理食塩水を皮内に打つのは
知られた手法なんですか。
向野 生理食塩水を皮内に打つ
という発想はあまりないですね。
松田 薬そのものをツボに打つという薬鍼は、
韓国で流行っていますね。
向野 ああ。中国では水鍼療法とかいって、古くから
やっているんです。あれは深く刺しますよね。
深く刺す必要はないです。それでずっと生理食塩水を
使っていたら、とうとう事務の方から
「先生やめてください」と言われました。
要するにレセプト(診療報酬請求明細書)を出したら、
生理食塩水なので、それを打つという使用法は
保険が認められないんです。生理食塩水は保険請求するより
原価のほうが高いんです。そう言われたので仕方ないから
やめて、今は、M-Test でやってうまくいかない場合がまれに
あるので、そういう時にちょっと使うくらい。
生理食塩水ではなく注射用の薬の入ったものを皮内に打つ
というやり方をしてます。
松田 ツボが表面だけでなくて構造を持っているならば、
その構造に食塩水が入ってぐっと圧迫したり
広げたりしますよね。
向野 広げるということだと思うんですよね。
例えば敏感な人がいて、ツボの部分、
例えば合谷を刺激すると、響く範囲があるとします。
その範囲が動いたりしましよね、広くなったり狭くなったり。
人によってはそれが狭くてピンポイントなんですよ。
ピンポイントを狙って刺激するのはものすごく大変です。
ならば最初からじゅうたん爆撃がいいということで、
それで生理食塩水を打ったんですね。
松田 なるほど。鍼灸師で技術を持った人は、
ピンポイントを狙うのが鍼の特技だと考えて、
一生懸命狙い打ち打ちをしますよね。
向野 そうそう。だけど僕は、誰でもやれるためには
ピンポイントじゃなくてもできる方法でと思ったんです。
それで最初、鍼先が10本くらい出ている小さな集合鍼を
作ってくれって頼んだんですよ。試作品を見たら、
突起は出ているんですけど、全然役に立たない。
これじゃあだめだと言ってから、そのままになっていたんです。
松田 それは梅花鍼の小さいようなやつ?
向野 刺さらない鍼なんですけどね。そのままになっていて、
ある時突然、2年前くらいですかね、これを作ったからと
言って持ってきてくれたんですよ・・・」
『病気は日常の動作に発見できる 経絡テストからM-Testへ』
向野義人
松田博公対談集『日本鍼灸を求めて』緑書房
世の中にはオモテには決して出ない本物の情報がある
しかしその本物の情報に触れる機会はまずない
だってオモテには決して出ないのだから 笑
2021年03月25日 Posted by ハリィー今村 at 06:17 │Comments(20)
真実はひとつ
「ウイルスや黴菌の細胞内感染では、38~39度の発熱で
原因のウイルスや菌がダメージを受け、病気が治りますが、
これはミトコンドリアのエネルギー産生が発熱で活性化し、
黴菌やウイルスを細胞内消化したり同化するからです。
ガン細胞も38~39度に発熱するとヒートショックタンパク質と
いわれるタンパク質が正常細胞内にできてガン細胞内の
ミトコンドリアのつぶれた構造がよみがえってくることが
知られています。
じつは、これが、ガンの温熱療法の細胞レベルでのしくみです。
ガンの温熱療法は、ガン患者が連鎖球菌の感染でおこる丹毒に
かかって39度の熱が1週間ほど続くと、丹毒からの回復後、
ガン(2~3センチくらいまでのもの)も消えて治っていたという
例が洋の東西を問わずかなりの数に上ったことから
始められました。これは、発熱により高温の環境になって
元気になった白血球がガン細胞の膜のほころびをどんどんと
見つけて破壊し、消化して栄養として吸収し分解して
尿や汗として排出してしまったためです。前にも述べましたが、
くたびれた細胞やら新たにできたガン細胞は、
1日に合計1兆個も新しく新生することを思い出してください。
大体平均で1キログラムの肉が一晩でつくりかわっているのです。
そしてこのしくみを担っているのが白血球細胞なのです。
たとえば直径2センチくらいのガンは、細胞数にして
1兆個の百分の一くらいしかありませんから、スムーズに
すすめば、1週間もあれば白血球が貪食し、消化してしまいます。
このように、ガンの自然治癒を導くためには、
身体を温めることが何よりも大切です。」
西原克成『究極の免疫力』講談社インターナショナル
鍼灸指圧→ヒートショックプロテイン→免疫賦活
2021年03月22日 Posted by ハリィー今村 at 10:17 │Comments(15)
切なる願い
「レディ・モンタギューはロンドンの友人に宛てた手紙に、
その過程を描写した。地元住民は子どものために
パーティーを開く。そこで老女が針で子どもに小さな切り傷をつけ、
傷口にもっとも軽い症状の天然痘にかかった人のかさぶた
から作った粉を一つまみ置く(軽い症状というのはおそらく、
バリオラ・マイナーという天然痘ウイルスの変異株に
よるものだろう。これで死に至ることはめったにない)。
八日後、子どもには二十個から三十個の膿疱ができ、
軽い熱で寝込むが、二、三日で回復して、もう天然痘に
かかることはなくなる。レディ・モンタギューはこの慣習に感心し、
大使館の医師チャールズ・メートランドを説得して、自分の息子が
接種を受ける一部始終を見せた。年配のギリシャ人女性が
錆びた針を震える手に取り、乾いたかさぶたから作ったものを
少年の腕の小さな傷口につけるのを見ていたメートランドは
愕然とした。レディ・モンタギューが自分のしたことを
夫に話したのは、息子が回復してからだった。
無論、当時は誰一人として、免疫細胞の存在を知らないし、
まして樹状細胞が病原体から抗原を拾って適応免疫細胞を
活性化させることなど知るよしもない。しかし、接種によって
どのように免疫が得られるのか完全にわからないからといって、
それでこの習慣は止むことはなかった。何しろ効くのだから。
イギリス人にとっては驚くべきものであったが、
接種という行為は直観に反する、
決して新しいものではない。何世代にもわたり、
インド全土の医師は、天然痘の膿疱の膿に浸した針を子どもの
上腕に刺すというやり方で、天然痘の接種をしていた。
そして、この手法がコンスタンチノープルに到達したのは
レディ・モンタギューがやって来る少し前だったが、
中国では1000年前から天然痘の接種をすでに行っていた。
中国でのやり方は、伝えられるところでは、天然痘のかさぶた
を乾かした粉を子どもの鼻に吹き込むこともあり、
男の子と女の子でどちらの鼻孔に入れるかが
決まっているという。方法はどうであれ、たいていの場合
子どもは軽い熱を出してから回復し、免疫を得る。」
『土と内臓』
D・モントゴメリー + A・ビクレー著
片岡夏美訳 築地書館
近代西洋医学が全盛を迎える前に
アラブ医学 エジプト医学 ギリシャ医学
インド医学 中国医学 チベット医学
モンゴル医学 韓医学
和方医学(日本漢方 日本鍼灸)など
多くの伝統医学 伝承医学が世界の各地域にあった
ジェンナーの牛痘接種に先駆ける200年前には
中国で種痘法は行われていた
花岡青洲は朝鮮朝顔から抽出した麻酔薬を開発し
西洋世界に先駆けて世界で初の乳癌手術を成功させた
スイス国境で発見された5300年前のミイラには
入れ墨の痕があった
その入れ墨痕は私たち現代の鍼灸師が坐骨神経痛の
治療に使うツボの位置に正確に刻印されていた
CTスキャンの解析からこのミイラは生前に腰椎の炎症を
持病とし坐骨神経痛を患っていたと推定された
ツボの入れ墨の刻印は鍼を打った後の血止めの煤と
研究者は推定した
ツボという概念があったかどうかは不明だが
中国医学が発祥するよりも前の欧州で既に
ツボ治療のようなものが活用されていたのだ
医学の歴史は人類が生き延びようとした歴史と
言えるのかもしれない
5000年 いや もっと前から使われてきたツボ
それが今でも十分に使える
なぜ鍼を打つと体が軽くなるのか?
鍼治療をすると皮膚体壁の細胞からヒートショックプロテインが
産生されてくる このヒートショックプロテインという分子は
真皮の免疫細胞の樹状細胞の細胞膜に捉えられると
適応免疫を活性化させるように抗原提示をする
ヒートショックプロテインは鍼治療だけでなく灸治療や
指圧でも産生される
鍼灸指圧→ヒートショックプロテイン→樹状細胞→免疫賦活
もちろん5300年前の坐骨神経痛持ちには
このような鍼が効くメカニズムなど知りようもなかった
だが 効くから鍼をうったのだ
今の時代に彼が転生したなら私が鍼の治効メカニズムを
上記のように説明してあげよう
消毒衛生の発明と抗生物質の発見により急速に
近代西洋医学は世界を席巻した
そんな近代西洋医学の成果を称賛するのはやぶさかではない
だが同様に東洋医学を正統に評価する
そんなひとがひとりでも増えることを切に願う
2021年03月21日 Posted by ハリィー今村 at 21:41 │Comments(1)
気持ちいい先に
ナカムラクリニックnoteから転載
→https://note.com/nakamuraclinic/n/n8ff8f37f8d9d
既に 猛毒レベルの凄まじい被害
「とにかくね、たいていの人がそうだが、病気にかかると、
すぐに医者に行って、注射をうってもらい、薬をふんだんにもらう。
そうしなきゃあ病気というものは治らないかのように皆
思い込んでいるようだが、そうじゃない。
薬というのは、確かに黴菌の繁殖をおさえる役割を
もっているから、その黴菌をやっつけて、それから受ける害毒を
少なくすることはできても、私たちのからだそのものが、
その薬によって良くなるわけじゃない。確かに黴菌は
死ぬかもしれないが、同時に自分のからだにも害があり、
飲めば飲んだ分だけ からだが壊れていって、
こっちの正体の方まで殺していくということにもなる。
例えば、黴菌が百匹、攻めて来たとする。その時にね、
その中の六十匹をそこで殺せば、あとの四十匹がそこを
かいくぐって入って来ても、こっちは大丈夫という状況に
なっていればいいんで、敵を一匹でも入れまいとしてかかると、
そりゃもう薬がいくらあったって足りゃしない。
全滅させる前にこっちの方がぶっ倒れてしまう。
もともと、人間のからだは、少々の黴菌が入っても大丈夫な
ようにできているんだけども、そのからだの基本構造が
歪んで崩れてきているものだから、ちょっとの黴菌にも
すぐにやられてしまうことになるんだ。
やられて病気になるというと、人間はその黴菌の方にばかり
気をとられて、そいつを如何にしてやっつけるか、ということに
頭をしぼる。そのことに対しては、あれやこれや、
あらゆる方策を考え、実行しようとするが、
一番肝心のからだのバランスが崩れていることには目を
向けようともしない。いくら最上の方策・作戦を巧みに展開して
敵をやっつけたとしても、敵の数は無制限だ。
次から次と、いろいろな敵があらゆる方向から攻めてくる。
やっつけてもやっつけてもきりがない。ふと気がついてみたら、
敵をやっつけるためにつくった凶器で、
自分がやられていることに気づいて大あわてだ。
こんどは又、その方の対策も講じなければ
ならなくなったってわけです。
これじゃもうイタチゴッコですね、ただ忙しく疲れるだけ。
薬なんか飲まなくても、こっちが黴菌に対する抵抗力を
回復しさえすれば病気は治る、ということに
気が付かなくちゃなりません。そして、まず何たって大切なことは、
からだのバランスを崩すような生活をしないということです。
生活が間違っていたら、あの息・食・動・想の法則にはずれたら、
まずその間違いを正すこと。生活の歪みさえ正せば、
病気は自然に治ってくるんだ、ということです。
更に言えることは、自然(人間のからだを含めて)の動きというのは、
みな、元に戻りたい本能をもっていて、ひとりでにそういう動作を
しているのです。だから、何もしなくっても、
原始感覚の命ずるままに動いていたら、いつのまにか、
治っていることだってある、ということです。」
橋本敬三『からだの設計にミスはない』柏樹社
敵をやっつけるためにつくった凶器で←今ここ!
自分がやられていることに気づいて大あわてだ←今ここ!
故・橋本敬三先生は知る人ぞ知る操体法の創始者
医師であり鍼灸師
彼の医哲学のエッセンスはこんな言葉にあらわれる
「とにかく気持ちのいいことをしろ
気持ちのいいことが一番だ」
苦しんだ先に治癒はない
気持ちいい先に治癒がある
予防と称したもので
健康な者が苦しんで死ぬ
愚の骨頂
もはや言葉も無し
2021年03月15日 Posted by ハリィー今村 at 08:22 │Comments(14)
ありふれたもの
「フィトンツィド学説は、これまでになかった生物学の
一部門として健全に育ちつつある。
この学説は植物から生まれて、飛散しつつある物質に
関したもので、フィトとは植物、ツィドとは殺すという意味で、
植物の殺菌力学説とでも言えるであろう。
実験研究には、こんなのがある。
樫の新鮮な葉を一つかみ鋭利な小刀で刻み、
そのそば2~3センチの所に、微生物の多数がうごめく水滴を
ピペットで移す。つまり滴虫類やアメーバのような
単細胞の原虫のほか、結核菌、腸チフス、コレラ、ジフテリア菌
なども入っている。何分か後に顕微鏡で検査すると
死滅しており、菌の好む栄養を与えても生き返らない。
白樺、ユーカリ、西洋バクチノキ、黒スグリなどの葉、
松、杜松、シベリアモミの葉、マワレブ桜、ミカン、リンゴ、
ワサビの根、野生シャクヤク、ニンニク、ネギなどの
フィトンツィドも優れた殺菌力がある。
今では抗ジフテリア菌、百日咳菌、化膿性菌のフィトンツィドや
トリコモナス、ランブリア抗生のもの、流感ウイルスに
影響するものも見つかっている。
このことから大気中に浮遊する細菌群にとって森林や草原、
街路樹などのフィトンツィドは大きな意味があり、
病室内細菌が植物によって少なくなることも知られている。
トーキン教授は実験研究の結果、赤道地帯から
ツンドラに至るまで、地球上の植物は目に見えない微小な
細菌類や真菌類を殺す力を持っていることを立証した。
相違はただ数秒間か、数分、数時間かかるか、
物によって峻厳か、温和かの作用力の違いがあるだけという。
実験フィルムで羊くらいの大きさに拡大されて映写される滴虫類の
一つは、悠々と泳ぎまわっているが、そのそばにレモン皮の
小片でつくった粥状のものを並べておくと、伸び伸びしていた
滴虫類はたちまち縮まって、小さな塊状になってしまう。
それからその表面が透明になって溶けてゆく。
数秒後、動かない塊状物は崩壊しはじめ、突然ロケットから
はじき出されでもするように、わきにふっ飛んでしまう。
なおよく注意すると、フィトンツィドは容赦なく塊状物を追跡して
行き、塊状物は原形質のようなものを残して消滅してしまう。
トーキンとその協力者の研究で、いろんな微生物を簡単に
殺菌するネギ、ニンニク、ワサビ、ミカン類が人間に無条件に
有効であることが立証された。もっとも、いかに有効であろうと、
度を越せばよくないことは言うまでもない」
木崎国嘉『長生きと若返り』創元医学新書
食薬一如
食べ物が薬
だが科学真理教の信者は
こうしたシンプルな学説をなぜか馬鹿にする
科学的に立証されているのに
フィトンツィド学説 または
フィトンチッド学説
聞いたことくらいはあるでしょう
かつてこの国にはネギだけで結核を治した伝説の食養家がいた
私も何度か彼に会い 話を聞いた
ありふれたもの
それが宝
2021年03月11日 Posted by ハリィー今村 at 22:21 │Comments(12)
人間万事塞翁が馬
「明治の初め、西洋医学が正統のものとして
時の政府からお墨付きをもらったのも、
あの天然痘に対する種痘所の苦心の設立と、
そして無慮数十万の生命を奪ったコレラの
防疫対策の成果だったと聞く。
そこでは『細菌感染と発病』そして『細菌撲滅と治療』という、
万人の認めずにはいられない因果の図式が否応なしに
錦の御旗と化して、伝統の東洋医学はしだいしだいに
民間の片すみに押しやられてしまったのであろう。
いうなれば、問題の黒船が新型バイキンを専用の疫学と
抱き合わせにこの国に持ち込んだのであろう。
歴史の必然に裏打ちされた
これが西洋医学渡来の経緯と思われる。
それでは、東洋医学とはいったい何か。
それは一言でいえば、細菌と共存する世界のようだ。
そこでは、だから、つねにそれが可能な体質が問題となる。
しかしこの場合にも、たとえば『抵抗力』といった
ことばは出てこない。それは『予防』とか『殲滅』など
ともいうように、あくまでも細菌を敵性国家と見なす人間の
精神から出たもので、こうした意志的発想は、
本来の東洋医学の世界では育たない。
この平和を愛する国柄は、いってみれば、純白のシーツに
よって撤去されようとしている、あの農村の土間の奥に
藁を敷いた万年床の世界に、ものの見事に象徴される。
『衛生』とは似て非なる、
それは真の『養生』の世界というものか・・・
細胞のからだのなかには、かつての独立生物と見られる
各種の微生物がさまざまのかたちでとり込まれている。
糸粒体、葉緑体、中心小体など。一方、動物のからだを
見ても、そこには無数の微生物が共存共栄のかたちで
寄生している。さらに動物界全体をとっても、そこでは
微生物である菌類の仲介なしに植物との交流は
実現しえない。江戸時代の生類憐みの令に象徴される
ように、もともと東洋人は、こうした自然界に見られる
生物共存の姿をこよなく尊ぶ。
それはナチスがユダヤ人の抹殺を計ったことと明らかな
対照をなすものだが、この国には万葉のむかしから
そうした抹殺の思想が興りえなかったのも、結局は
民族生理とでもいったもののしわざか。」
三木成夫「胎児の世界」中公新書
尊敬する三木博士が流麗な文体で
東洋医学の本質を描く一節。
何度読んでもあまりに素晴らしく
いつ読んでも感動を禁じ得ない。
三木博士もまた日本の誇りだ。
明治17年 医師法が改正され
日本の東洋医学は正統から外れ
以後は医業類似行為という侮蔑的な用語が
当てられて今に至る。
この国は鍼灸指圧を医業とは認めない。
医業の類似行為だってさ。
なんだそりゃあ?
ゆえに診断権は剥奪され社会的地位は
ものすごく底辺である。
しかしそれはそれ。
今回のようなケースではアレを
優先的に打たれずに済む。
人間万事塞翁が馬。