足掛け三十年の余 

鍼灸指圧業に携わってきた

ひとつの業を続けてきた年数としては

そこそこの長さだろう


最近 いろいろと思うことがある

ある程度の年数を経験すれば

たしかに初道の頃には感じなかった諸々が

朧気に理解できるようになる

例えば 治療においては

淡意思 ウーイースー

意念は淡く保て

という教えがある

つまり治そうと 治してやるぞ という

治療家の思いが強いとかえって治療はうまくいかない

という教えなのだが

このことが何となくわかるようになった


意念が強いと体がこわばる

すると鍼を打つ指先の動きも固くなる

そんな指で打たれても気持ちいいわけがない

リラックス

鍼を打つ者が完全にリラックスしていると

気持ちいい鍼が打てるのだ


と このようなごくごく基本的な教えの真意が

理解できるまでに三十年の歳月がかかった


世は科学の時代らしい

科学の時代には科学的な説明が求められる

ゆえに鍼灸指圧の治効理論も科学用語を駆使すべき

というスタンスでここ十年ほど情報発信に努めた

でも飽きちゃった 笑

というか科学用語で説明しても

なんだか本当のところが

伝わらないような気がしてきた


さっきも言ったリラックスした鍼師が打つ鍼は気持ちよく

緊張した鍼師が打つ鍼は気持ちよくない

というのを科学用語で説明することは不可能

しかしこういう科学用語で説明不能の部分が

自分の手の内には多い

いや多いなんてもんじゃない

いわば全部


ものすごく無理して時代に迎合してきた

そう そもそも手の内を科学用語で説明するなど無理

無理をしてるとストレスが溜まる

ストレスは体に悪い


今年は無理せずに自分の言葉を語ろうと思う

三十年の余 鍼灸指圧業に携わり

手の内の世界に浸ってきた

そこから溢れるなにがしかを拾う

それを言葉にしてみる

その言葉は科学用語ではない

でもその言葉はより本質に近いはずだ


風の時代の到来

古代マヤ文明では中国医学の経絡を

風の脈と呼んだという



風の吹くまま 気の向くまま





2021年01月01日 Posted byハリィー今村 at 12:03 │Comments(7)

この記事へのコメント
明けましておめでとうございます
今年こそは、初指圧にお伺いいたしますので
宜しくお願い致します
Posted by うきはのいなか at 2021年01月01日 13:26
明けましておめでとうございます。
本年も良き導きをお願いいたします。
Posted by 桑畑五十郎 at 2021年01月01日 13:43
あけましておめでとうございます。毎日のように温灸を続けてきました。昨年晩秋の頃、突然痛みが消えました。しばらくは「またくるぞ、くるぞ」と思い、家族にも「治った」とは言いませんでした。がっかりさせたくないし、何より自分がはんしんはんぎだったので。部屋はすっかりあの匂いに染まりました。もちろん私自身も。先生、本当にありがとうございました‼️
Posted by そら at 2021年01月01日 15:31
うきはのいなかさん

今年も宜しくお願いいたします



桑さん

こちらこそ良きお導きをお願いいたします



そらさん

自力で温灸を続けて坐骨神経痛を完治!

まことに素晴らしい!

おめでとうございます!

温灸で 痛みが消える 神経痛が治る と言っても普通はほとんどの者は信じません

でも そらさんは 信じて温灸を始めて諦めずに毎日のように続けた

続けた者にしか味わえない痛みの消える感覚

身体が温灸の努力に応えてくれた

これも科学で説明できない事

疲れが腰に溜まると再発する事もままある

でも そうなっても 又 温灸をすれば 以前よりも早く痛みが消えるのを実感するでしょう

そうして調教していくと身体が自分の手の内に収まってきます

身体と対話して身体と友達になる

それが鍼灸指圧の真骨頂
Posted by ハリー今村 at 2021年01月01日 16:36
あけましておめでとうございます。
11月のはじめにフロリダの妹夫婦が住む嫁の実家に引っ越しました。いま自分たちが住むために物置小屋をベースにタイニーハウス?をつくってます。土壁にしてるんですが毎日土をふみふみしております。今日は新年、ダンボールのどっかに入ってる温灸セット、取り出そう!
Posted by 中尾勇人 at 2021年01月02日 02:42
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよしなにお願い致します。

風の脈 いいですね。
なんか、いいですね。
Posted by 見習い③ at 2021年01月02日 12:29
中さん 新天地で大草原の小さな家ですか

アメリカのみならず世界中がカオス

しかし 本質はいつも自分の中心にある

と思う今日この頃

温灸で中心に潜るのも一興




見習い③さん 古代医学には いわゆる経路の片鱗が汎世界的に見られるようです

古代マヤ インド エジプト

5400年前のミイラ アイスマンの入れ墨しかり

つまり古代医学の気の概念 生命観 身体観を払拭し つい最近のたった300年前に立ち上がった西欧近代医学を盲信する様に

現代の医学常識は書き換えられている というわけ

近代医学こそ正統科学だと ドヤ顔でマウント

でも医学の歴史で言えば近代医科学など所詮はペーペーだし 

科学用語では説明できない胡散臭い手の内を本年は語ってみたいです
Posted by ハリー今村 at 2021年01月02日 15:15
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    コメント(7)