灯明

灯明

わたしたちは日々、ものを食べて、

それを糧に生きている。

例えばタンパク質ならば

だいたい一日に70グラム程度を

わたしたちは食べている。

なぜなら、毎日、

ひとの体では200グラムの

タンパク質が新しく作られるからだ。

エッ、うん、ちょっと、待てよ?

200グラムの新しいタンパク質を作るためには、

一日に70グラム程度のタンパク質を食べるだけでは、

足りないんじゃないのか?

はい、その通り!

まったく足りません。

でもね、ここにマジックが存在するのだ。

体のなかには次々に古くなって使えなくなったタンパク質や、

製造に失敗した不良品のタンパク質の、

タンパク質のゴミが溜まってくる。

このタンパク質のゴミを常にリサイクルして、

ユビキチン・プロテアソーム系とオートファジー系で

新しいアミノ酸に変換して、

それを新しいタンパク質を作る材料にすれば、

食べるタンパク質が70グラムでも、

十分にやりくりできるのだ。

だいたい食べるタンパク質の3倍量のゴミ・タンパク質が、

新たなタンパク質を作るアミノ酸として

再利用されているのだ。

細胞というか、生命はまことに賢い!

たとえ飢餓状態におかれても、

オートファジー系を駆動することで、

細胞内の余剰産物を分解して再利用して、

栄養や必須成分をそこから獲得してしまう。

そして、そんな飢餓状態の急場シノギのオプションを、

やがて通常のルーティンモデルに援用し、

基底レベルのオートファジーという、

細胞内を常にクリーンに保つ仕組みまで編み出した。

細胞は基底レベルのオートファジーを駆使し、

つねにゴミを分解し、それを再利用して、

細胞活動を円滑に営む。

産業廃棄物の処理に手こずっている我が人類は、

なぜこの細胞の賢い生き様を見習わないのか?

細胞こそがわたしたち人類が歩むべき文明の

行く道を照らす灯明だ。



2017年09月04日 Posted byハリィー今村 at 14:54 │Comments(0)

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