魔法の力

魔法の力

卵料理は火加減が難しい。

例えば簡単そうにみえる目玉焼き。

黄身の中が固まらないでトロトロ、

でも、まわりの白身の部分はキレイに白くなって、

ちゃんと火が通っている。

これが、オレ好みの焼き加減なんだけど、

この理想の焼きが、なかなか成功しないのだ。

なぜかというと、卵の成分のほとんどを占める

タンパク質が熱で簡単に変性するからだ。

卵のタンパク質が熱で変性して凝集する。

これが目玉焼きの内部で起こっている分子レベルの現象だ。

もしも、ひとの細胞の内部のタンパク質が

熱で変性したら、どうなるのか?

それはつまり細胞が目玉焼きになることを意味する。

細胞が目玉焼きのようになって細胞の中身が固くなったら、

細胞は細胞内部の活動が滞るか、もしくはストップしてしまう。

それは細胞の死を意味するのだ。

卵の目玉焼きはたいへんに美味しいが、

細胞の目玉焼きは決して美味しい状況ではない。

しかし、ひとの体もそのほとんどが卵と

同じくタンパク質で出来ているのだ。

ということは、細胞が目玉焼きになる危険性は十分にある?!

そう、例えば紫外線を浴びても、

活性酸素が発生しても、それが原因になって細胞内のタンパク質が

変性して、細胞が目玉焼きになる危機にさらされる。

日常的に発生する活性酸素ごときで、

細胞が毎日、目玉焼きになっては、たまらない。

でも、じつは細胞は日々、目玉焼きになっているのだ!

だけど、もちろん、だからこそ、細胞が目玉焼きになっても、

即座にまた卵かけご飯になるような仕掛けが

ちゃんと細胞には備わっている。

その目玉焼きを卵かけご飯の生卵にする仕掛けが、

われらがヒーロー・タンパク質のヒートショックプロテインなのだ!

試験管にヒートショックプロテインを入れた卵白と、

ヒートショックプロテインを入れない卵白を用意する。

この二つの試験管を同じ70℃で10分間加熱する。

すると、ヒートショックプロテインを入れない試験管の卵白は

熱でタンパク質が変性し、白濁するが、

な、な、なんと、

ヒートショックプロテインを入れた試験管は、

白濁せずに、透明の生卵のまま!!!!!

まさに、ヒートショックプロテインはタンパク質の

変性を防ぐ魔法の分子なのだ!


ひとの細胞内の小胞体に存在するのが

ヒートショックプロテイン47。

このヒートショックプロテイン47は、

コラーゲン生成に関与し、皮膚のシワを防いでいると

考えられている。

ひとの皮膚は紫外線にさらされると酸化作用によって、

シミやシワが増える。

それをヒートショックプロテイン47が

防いでくれるかもしれないのだ。

鍼灸指圧は皮膚に働きかける医療だ。

であるのなら鍼灸指圧によって

皮膚のヒートショックプロテイン47が増えて、

シミやシワが防げると仮説できるかもしれない。

近年になり美容鍼灸が芸能人やモデルのあいだで流行っている。

一過性のブームかと高をくくっていたが、

どうやらそれなりに定着してきたようだ。

美容鍼灸がそれなりにスタンダードになり得たその分子レベルの

背景には、たぶん鍼灸指圧のヒートショックプロテイン誘導による

ヒートショックプロテイン47のシミ・シワ抑制効果が効を奏した

と分析できそうだ。

ひとという存在を目玉焼きにしないで、

いつもフレッシュな生卵に保つ。

それこそがヒートショックプロテインの魔法の力だ!

このヒートショックプロテインの魔法の力を引き出す医療が

鍼灸指圧だ!







2017年08月28日 Posted byハリィー今村 at 06:06 │Comments(5)

この記事へのコメント
拝見致しました 目玉焼き一つでも考えさせられることが沢山あるのですね
Posted by 噓と欲 at 2017年08月29日 04:30
腹減った(笑)
暫し空きっ腹を愉しみます
Posted by 見習い③ at 2017年08月29日 06:25
嘘と欲さんへ

ええ、目玉焼き、温泉卵、スクランブルエッグ、茶碗蒸し、

卵料理をみるたびにヒートショックプロテインを考える、

そんな日々です(笑)

生命誕生に関わる好熱菌のあるタイプは君島十和子さんもビックリの80℃付近の高温の湯温を好む。

この好熱菌の体内にヒートショックプロテインが湧いてくるのは、それよりもさらに高温の90℃付近の温度帯。

つまりこの場合は温度変化がヒートショックプロテインを誘導しているということ。

適正なストレスはヒートショックプロテインを誘導する健康の源といえそうです。




見習い③さんへ

腹が減ると、胃壁からグレリンが分泌されます。

グレリンにはミトコンドリアを増強する作用がある。

グレリンを分泌して、うまいもんを食べて、ミトコンドリアに栄養を送り、

ひとは健康に生きられるのです。

またグレリンには脳ニューロンを増幅する作用もある。

腹が減った究極の先には死が待っている。

死ぬのは御免だから、死なないために脳がフル稼働で食い物にどうしてありつくか、と考え始める。

考える、というその機能の始まりは、もしかしたら空腹、グレリンにあるのかも。

ひとはパンのみに生きる。

わたしはどちらかというと、ひとはパンのみに生きるにあらずではない、

パンのみに生きる餓鬼でいい、と思ってます。
Posted by ハリィー今村ハリィー今村 at 2017年08月30日 05:47
昨日午前にお邪魔しました安芸の国富士山オヤジです。昨夜無事帰ってきました。経験則に基づく自己診断だと「こりゃ馬油マッサージで全治1週間かな・・・」なんて思っておりました痛めた右膝ですが、何と今朝起きてみると痛みがなくなっておりました。やはり先生の施術は凄いですね。まだふくらはぎ、太もも近辺の筋肉痛はありますが、膝の痛みに比べればたいした話ではありません。また来年があるとすれば、できれば今度は登る前と、下りた後にお邪魔したいですね。よろしくお願いいたします。
 あと25日以降のブログを見ることなくお邪魔したので私のヒートショックプロテインの話が少しトンチンカンだったように思いますが・・・、ブログを読んで”オヤジ十和子”になるぞ、と決意しました。(笑)
 ほんとうに貴重な体験でした。ありがとうございました。
Posted by 安芸の国富士山オヤジ at 2017年08月30日 17:27
安芸の国富士山オヤジさんへ

なんとも、Nさんらしい、ぴったりのハンドルネームですね(笑)

48歳で富士山に登りだしたら、スタミナがついて健康になり、

60歳まで、毎年の富士登山を健康診断の一環として、自分の体調を見極める指標にしている、とのことで、

たいへんに感銘を受けました。

Nさんはおなじ自営業とはいえ、いわゆる知的レベルが相当に高くないと出来ないお仕事をされていて、

それで私の旧ブログからのブログ読者であり、今回、初訪問と、

たいへんにありがたい出会いでした。

そして、登山後の膝の痛みが消えていた!

まさに一酸化窒素、ヒートショックプロテイン、オキシトシン、βエンドルフィンと連動する鎮痛効果の恩恵でしょうね!

わたしも、おなじく、おやじ十和子、を目指します。

温泉場では、このあいだ、なりきってましたから(笑)

おやじ十和子登山、ともに、頑張りましょう!

またのご来院を楽しみにしております。

こちらこそ、いろいろと、ありがとうございました。
Posted by ハリィー今村ハリィー今村 at 2017年08月30日 19:37
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