細胞を内側からキレイに

細胞を内側からキレイに

オートファジーとは、細胞内を自力で浄化する仕組み。

細胞とは、細胞核にあるDNAがタンパク質を生み出す事を

最大の目的とした装置だ。

この細胞核DNAの遺伝子が起動してタンパク質を生み出す仕組みを

セントラルドグマ(中心条理)という。

つまり細胞とはタンパク質を生み出す役割を担い、

そこでは日々、タンパク質がセントラルドグマに

従って生み出されているのだ。

遺伝子とはタンパク質を生むための設計図だ。

さて、そうして日々、生み出されるタンパク質だが、

このタンパク質がすべて良品で生産されるわけではない。

はぁ? なんのこと?

といま、ここを読んでくれている若干少なくなった読者の皆さんは、

いま思ったことだろう。

そうなんです。

日々、細胞で生み出されるタンパク質のなかには、

折りたたみに失敗したタンパク質、ようはタンパク質製造ラインで

不良品として、はねられるタンパク質がつねに生産されている。

この不良品のタンパク質をそのまま放置しておくと、

細胞工場のタンパク質製造ラインが目詰まりを起こして、

機能不全に陥り、

細胞工場のタンパク質製造ラインがストップしてしまう。

もしも、そんなことになったら、ホルモンも生産不能になるし、

ATPも、神経伝達物質も、免疫グロブリンも、

なにもかもの生産がストップしてしまう。

それは言ってみれば細胞活動の停止、

ヘタを打つと生命の危機を意味する。

だから、そんなことにならないように、

あらかじめそうした不良品のタンパク質をシュレッダーのような

装置で裁断して、またアミノ酸に戻して、

再利用する仕組みが備わっている。

この装置をユビキチン・プロテアソーム系という。

このユビキチン・プロテアソーム系が、

オートファジー発見よりも前によく研究されていた細胞内を

自力で浄化する仕組み。

だから、細胞内を自力で浄化する仕組みには、

オートファジー系とユビキチン・プロテアソーム系の

二つの系があるのだ。

この二つの系がじつは連携しているか、もしくは連動しているか、

たぶん、連携連動しているのでは、と予想されている。

だとすると、重要なポイントが浮かび上がる。

ユビキチン・プロテアソーム系のユビキチンというのは、

小さなタンパク質で出来た標識のようなもので、

このラベルがいくつか連なって不良品のタンパク質にくっつくと、

この不良品のタンパク質がプロテアソームというシュレッダーに

運ばれて、そのなかでアミノ酸に裁断されるわけだ。

つまりユビキチンはヒートショックプロテインなのだが、

ここから導かれる希望的独断が、

ヒートショックプロテインを誘導できれば、

ユビキチン産生を促進し、その結果、不良品のタンパク質が

速やかに識別されて、プロテアソームに運ばれて、

細胞内はキレイになるはずだ、という結論になる。

そして、ユビキチン・プロテアソーム系と

オートファジー系が

連携連動しているのなら、ユビキチン・プロテアソーム系を

促進することは、イコール、

オートファジー系の促進につながるはずだ。

こういう耳慣れない生理学用語を使用すると、

とたんに読者が減り、ブログランキングが落ちる(笑)

でも、鍼灸指圧がヒートショックプロテイン産生を

促進できることは、すでにエビデンスも

担保された確実な事実なわけで、

そこから演繹的かつ帰納的に類推して、

さらなる先を仮定し仮説を導き、

それを実践で立証するのが、

実践家のわたしの努めなのだ。

だから、読者が減ろうと、なんだろうと、

言うべきことは言っていく。

いまこの日本で、いやこの世界中で、

鍼灸指圧とオートファジーを絡めた論説を展開できるのは、

たぶん、わたしひとりくらいのものだ。

ニッチとは生態学的地位というのが正式な学術的な意味だ。

一般的にはニッチという用語は隙間狙い、

ひとさまが見落としている部分に着目して、

その隙間スペースを最初に占有することを意味する。

どうやら、

「オートファジー鍼灸指圧論」というニッチを私はすでに獲得した。

オートファジーという概念、生態の真意を咀嚼するには、

けっこうな時間を要した。

ノーベル賞受賞よりもはるかに前からオートファジーに注目し、

ノーベル賞受賞後もずっとオートファジーを追い続けたからこそ、

こんなサラッとしたオートファジー論が展開できるのだ。

エッ、ぜんぜん、サラッとしてない?

めっちゃ、濃厚?

いや、これでも、サラッと書いてるつもりだけど(笑)

細胞はタンパク質を作ったら作りっぱなしには絶対にしない。

不良品のタンパク質やゴミと化した変性タンパク質の凝集体や、

その他の細胞質に溜まってくるすべてのゴミ分子を、

ちゃんと分解処理し、そのほとんどを再利用してしまうのだ!

大量生産、大量消費、大量廃棄で

自然を破壊し続ける我が人類も

少しは細胞が自力で自分を浄化する仕組みを

見習ったらどうだろうか?

おっと、ちょっと、マジメになっちまったぜい(笑)

ヒートショックプロテインを誘導し

細胞を内側からキレイにする。

それが鍼灸指圧の凄味だ。



2017年08月25日 Posted byハリィー今村 at 05:25 │Comments(2)

この記事へのコメント
目から鱗。まったく素晴らしい。ミクロの探検隊になって行って帰ってきた興奮を覚えました。書きながら、手が震えています。
Posted by 島崎洋行 at 2017年08月25日 08:30
島崎洋行さんへ

はじめまして。

ご訪問ならびにコメントを頂きまして、ありがとうございます!

こういう、ちょっとハードな記事に、島崎さんからは、かようなコメントを頂きまして、こちらも感激しております。

はい、本当に細胞世界の精緻な仕組みを知るにつけ、

あまりに素晴らしく、なぜ人間はこの小さな世界に学べないのか?

と常々、考えてしまいます。

細胞の平均の大きさが0.06ミリメートル。

こんな小さな中に砂粒1個に10億個収まるさらに微少サイズのミトコンドリアが連なっている。

そんな微細な世界であっても生産した物質を無駄なく処理し、

使えるものはすべて再利用するその姿勢。

エコ、エコと叫ぶなら細胞はとっくに、エコの神様、

エコ大明神(笑)

そして最終的に細胞が使いものにならなくなれば、ミトコンドリアが主導して、

アポトーシスの引き金が引かれ、そのミトコンドリアももろともに消滅し、

断片はマクロファージに食べられて、消えてしまう。

まことにクリーンな細胞世界。

鉱物資源を悪用し、トイレのないマンションを54基も日本の沿岸におっ建てたのは、どこのどいつだ!

わたしはミクロの世界に文明の指針を教わっております。
Posted by ハリィー今村ハリィー今村 at 2017年08月25日 19:31
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