枝豆と指圧と一酸化窒素

枝豆と指圧と一酸化窒素

こんな仕事、鍼灸指圧を生業にしていると、

どんどんと視野が広がってきた。

例えば指圧をすると、その指圧された部位の

皮膚と血管壁では、一酸化窒素という

ガスが発生する。

この一酸化窒素はもともとは毒物と勘違いされていたのだが、

近年になり、人間が正常に生きていくうえで、

もっとも大事なホルモンである、ことが判明した。

その発見をした研究者の皆さんは、すでにその発見の栄誉で

ノーベル賞をもらっている。

だからノーベル賞をもらうほどのとてつもないガスが、

指圧で湧いてくるのだ。

これを称して、押せば命の泉湧く、と浪越徳治郎先生が

仰ったわけではないが、結果的にそのキャッチコピーは

ドンピシャで、指圧がもたらす一酸化窒素の誘発作用を

見事に言い当てていた、ことになる。

今頃、それみたことか、と天国であの豪快な笑い、

ハーハッハッハーと呵々大笑しているだろう。

さて、その指圧された部位で発生する一酸化窒素は、

じつはアルギニンというアミノ酸がもとでそこに

生み出されるのだ。そしてこのアルギニンという

アミノ酸は食べ物に含まれるアミノ酸が血液中に吸収されて、

指圧する部位の皮膚や血管壁にまで運ばれたものだ。

このアルギニンというアミノ酸は、

例えば大豆、つまり茹でた枝豆に含まれている。

夏と言えばビールに枝豆。

この枝豆を食べると、その成分であるアルギニンが

もととなって、指圧をするとそこに一酸化窒素が発生する。

ということは枝豆を食べて、指圧のみならず、

鍼灸指圧はすべて一酸化窒素を誘発するから、

鍼灸指圧をすると、そこに一酸化窒素の泉が湧いてくるという

わけだ。

というわけで、わたしもうちの庭に畑みたいなスペースを

こしらえて、今年も自家製の枝豆に舌鼓を打ったのだ。

これがね、さっき獲ったばかりの新鮮な豆で、

それを茹でて、ホカホカしたのを食べるんだから、

もう本当に旨いんですね!

で、枝豆の根っこのリゾビウムという窒素固定細菌が

空気中の窒素を取りこんでくれたお蔭で、

枝豆にアルギニンというアミノ酸が合成されるというわけで、

一酸化窒素を巡る旅をひたすら探求していくと、

指圧→皮膚と血管壁の一酸化窒素→

アルギニン→枝豆→窒素固定細菌→大気中の窒素、

となって、指先から始まった一酸化窒素ツーリングは、

天空の窒素源へと飛翔するのだ。

と、こんな分子レベルの話は、意外に受けが悪いのは

百も承知で、旧ブログで、もう懲りているんだけど、

枝豆が今年もそれなりに収穫できた写真を

アップしたついでに、

ついうっかり分子レベルを語ってしまいました。

こういうめんどくさい話が嫌いな皆様は、

今回の話はテキトーにスルーしてね。

では、部屋とYシャツと私、ならぬ、

枝豆と指圧と一酸化窒素、でした。



2017年07月24日 Posted byハリィー今村 at 19:28 │Comments(2)

この記事へのコメント
夫は毎晩のようにビールを飲むので、いつの頃からか枝豆を欠かさないようにしていました。それがこんな形で役に立ってたんですね。嬉しくなります!有り難うございました。
Posted by ムギ at 2017年07月25日 09:29
ムギさん

コメントを頂きまして、ありがとう!

ビールに枝豆のセットは、

腸は考える、の著者であった新潟大学名誉教授の藤田恒夫博士も

絶賛した組み合わせ。

なんでも、膵臓の細胞を大きくするセットで、

ようは消化器を強化するようです。

だから、ゲコのアタシはお酒が飲める皆さんは、羨ましい限り(笑)
Posted by ハリィー今村ハリィー今村 at 2017年07月25日 13:02
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